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直腸癌 肺転移の症例

症例報告:藤井


 40代 男性



●病歴
排便困難により直腸癌発見(Ⅲa期)、手術、化学療法(FOLFOX)
2年後、両肺転移、化学療法、4クール終了時に副作用が強すぎて中止、鍼灸院に来院


●おもな症状
慢性的な咳嗽、胸痛、息切れ、倦怠感、食欲不振



●所見
化学療法の副作用による食欲減退、倦怠感、下痢。
慢性的な咳嗽により肩背部のコリ、特に右側の圧痛を伴うコリ、ときどき緊張性頭痛あり。
右わき腹の慢性的な鈍痛と1日数回発作的に数十秒程度の強い痛みがある。
舌が赤く少し全体的にやや発熱傾向あり、脈はやや速く脈位が若干浮いている。
睡眠が浅く、寝汗あり、のどの渇きあり。



●治療の内容と経過
化学療法の副作用による倦怠感、食欲不振を緩和するために胃腸をケアするためのツボ選びを行う。
肩背部の緊張が強いので肩、首まわりのツボで筋緊張緩和。
鍼灸は初めての経験だったがあまり緊張せずリラックス出来て上半身がとても楽になったとのこと。

初回から4回目までは週2回のペースで通院し、肩背部のコリ緩和と胃腸のケアを重視。
徐々にコリがほぐれ睡眠が深くなり、呼吸が楽になる。胃腸がすこし動くようになった。
わき腹の発作痛は回数が軽減し1日数回→週に数回になる。

5回目~8回目
週1回の通院にて加療、寝汗、口渇、不眠などの発熱に伴う不快な症状がほぼなくなる。病院にてCT検査では肺の腫瘍が少なくなっているとの報告を受け気持ちが楽になり精神的に楽になり、鍼灸がとても楽しみになったとのこと。熱症状がなくなったので灸を多く使い、消化管のケアと免疫アップを目指す。

8回目~12回目
発作的な強い痛みがほぼなくなり、気分、体調も良く仕事復帰に向けて身体の調子を整える。
便秘と軟便が交互に繰り返しているので腸のケアに重点をおく。

12回目以降
仕事も復帰し、定期的な病院での経過観察と月2回の鍼灸治療を継続中。




●まとめ
大腸癌が肺へ転移をした患者さんで抗癌剤の副作用が強すぎるため抗癌剤を中止しました。一般的には抗癌剤投与後1~2週間で食欲不振、下痢などの消化管症状が徐々に軽減しますが、不快な症状がなかなか回復せず、副作用軽減の一環で鍼灸院に来院しました。
始めての鍼灸治療の直後にとても身体が軽くなり、鍼灸をすこし継続してみる気持ちになったそうです。その後も身体の回復にとても役立つ印象を受けたため、ずっと継続して鍼灸治療を行っております。
現在(2015年春)の時点で病気は小康状態で特に病院での検査のみでがん治療はしていません。

この方の場合、抗癌剤副作用による消化管症状に対する鍼灸ケアが非常に高い効果が得られました。中医学では「脾胃(ひい)」と呼ばれる消化器系統を健やかに保つことが大病の際の身体の回復に大きく役立ちます。
また、上半身、とくに右肩首の頑固なコリを緩和したところ、睡眠が深くなり、呼吸が楽になったとのことです。頚部の強いコリをほぐすことで睡眠の質が向上するのはごく一般的なことで、睡眠が良くなったことで身体の回復につながったのかもしれません。
当然ですが医師の処方による薬の奏功もありますが、それに加えて東洋医学的なアプローチでの身体とこころの健康回復に導くのが鍼灸治療です。




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